20100529

WRITE THE FUTURE by Alejandro González Iñárritu



WRITE THE FUTURE by Alejandro González Iñárritu


「NIKE」の世界的なフットボールブランドキャンペーン「WRITE THE FUTURE(未来をかきかえろ)」の一環として制作された長編TVCMが、非常に面白い。

ウェイン・ルーニーやロナウジーニョ、クリスティアーノ・ロナウドなど
サッカー界のスーパースターが登場しているが、見どころは選手たちではなくその物語。
なぜなら、監督を務めるのが「バベル」や「21グラム」で知られるアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥだから。

エンターテインメント性あふれる演出からは、
「たった一人の行動が世界中のあらゆる人の未来をかきかえる」という
彼ならではのメッセージ性がにじみでている。

イニャリトゥ作品の常連俳優、ガエル・ガルシア・ベルナルがチラッと出演しているのも、心憎い。

20100523

Bela Borsodi/Photographer


















単なる「商品」に「人格」を与えるオーストリアの写真家、Bela Borsodi(ベラ・ボルソディ)
彼の作品をピックアップしてみた。




















「FOOT FETISH」:ヒールとグラマラスな女性の裸体の融合














 「DIAMONDS」:ジュエリーとプライドが高そうな顔の融合




















 「WELCOME」:バッグと頭を抱えてしゃがむ女性の融合
















「NIGHT LIFE」:スワロフスキーと暴飲暴食する二人組の融合



その独特な表現から浮かび上がるのは、
消費による自己実現を要求される現代社会へのアイロニズム。

日本の文脈に照らし合わせると、
消費を通じた人々の「個性化」が強まる/ゆえに「没個性化」する80年代の空気を切り取った、
田中康夫「なんとなく、クリスタル」的な表現方法に通じるところがある。




六本木へ遊びに行く時には、クレージュのスカートかパンタロンに、ラネロッシのスポーツ・シャツといった組み合わせ。ディスコ・パーティーがあるのなら、やはりサン・ローランかディオールのワンピース。
なんとなく、クリスタル/田中康夫(1980)




ただ、80年代を通過して「ファストファッション化=倹約化」した
00年代以降の日本の視点で考えると、
こうしたアイロニカルだが単純な表現はあまり響かないと思う。
「分かってますよ、そんなこと」という梯子外しが待っているからだ。

だけれども、消費社会の象徴であるファッション分野の広告として創られた
ベラ・ボルソディの上記のような作品を眺めると、
単純さゆえの表現の力強さを感じてしまうのも確かだ。

20100516

地域ブランドづくりのためのデザイン・IT活用ガイド














地域ブランドづくりのためのデザイン・IT活用ガイド

【国内における地域ブランドに対する関心の高まりや取り組みが活発化している背景やそれに伴い生じている課題などに触れながら、地域ブランドについての基本的な知識やブランド強化のためのデザイン・ITの活用方法などについて解説】した北海道庁作成のガイドブック。

・ブランド・地域ブランドの本質
・プロジェクトの進め方や戦略
・デザイン・ITの活用方法
といった地域ブランディングに求められる 
基本的なディレクションスキルが身につく


・取り組み事例
・支援制度一覧
・キーワード索引
など役立つコンテンツも充実。


インデックスやポイントのピックアップし、
分かりやすくまとめているため、
読みやすく見やすいのもうれしい限り。

正直、クオリティ十分のこのガイドを“タダ”で入手できるのはありがたい。
北海道庁、万歳!!


20100502

ある朝スウプは/高橋泉



ある朝スウプは/高橋泉(2003年・日本・90min)
キャスト:並木愛枝、廣末哲万、高橋泉


恋や愛が途切れそうな瞬間に頭に浮かぶのは、
「もしもあのとき出会わなければ・・・」
「あの場面でああすれば・・・」という仮定の考え。

それはやはり後の祭りであって意味が無い。

だからこそ「出会い」と「別れ」の必然性をしっかりと噛み締め、
恋愛の絶望から一抹の希望を見つける振る舞いにシフトする必要がある。

なぜなら、人生は「それでも」続くからだ。

そんな真理をあるカップルの日常を淡々と描写しながら際立たせたのが、
この稀有の名作「ある朝スウプは」だ。

今までのどんな純愛映画にもないような
切な過ぎるラストシーンに、思わず身震いしてしまった。

『セカチュウ』が虚構の「100%純愛映画」なら、
この作品はキャッチコピーよろしくリアルな「100%純愛映画」だ。