20091211
All About My Destiny/kazufumi Shiraishi
私という運命について/白石一文(2005)
人知では想像出来ないほど複雑に絡まり合った偶然(必然)。
その連鎖によって実は「あたりまえの営み」が奇跡的に成り立っている。
だからこそ、まさかと思うような「ありえない出来事」に偶然(必然)出会う。
そんなシュチュエーションを、私たちはしばしば「運命」と呼ぶ。
この「運命」そのものにフォーカスしたのが、この作品だ。
読み進めるうちに見えてくるのは、
「運命」に対して「鈍感」であるか「敏感」であるかという意識の差異。
主人公の女性は「運命」に対して最初は「鈍感」であり、淡白な人生を過ごしていた。
しかし様々な出会いや経験を通じて「運命」に「敏感」になり始める。
そして、「あたりまえの営み」に奥行きが生まれ、一気に彼女の人生が加速し濃密さを増してくる。
人生が「淡白」か「濃密」かは、運命に対して「鈍感」か「敏感」で決まるわけではないが、
「あたりまえの営み」の中にある「ありえない出来事」を「運命」として受け入れられる敏感さこそ、
自分自身の世界を広げるために必要な鍵のひとつだと感じる。
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