20091213

Loft/Kiyoshi Kurosawa




















「カリスマ」「アカルイミライ」など邦画の歴史に残る
金字塔を発表してきた黒沢清の新境地的作品「LOFT」(2005)

映画のカテゴリーとしては恋愛を軸にしたサスペンスホラーだが、
表層的にこの作品を受け止めても全く怖くないしスリリングでもない。

妖怪ぬらりひょんみたいなミイラ、
怨念役なのにコケティッシュな安達祐実、
臭いセリフにありえない効果音、
2時間ドラマのような分かりやすいストーリー展開など
思わず吹き出してしまうようなディティールで成り立っているからだ。

しかしそういった表層的な部分は全てネタでベタに受け取ってはダメ。
ネタをフックにして深層的な部分にこそ目をやれば、そこで身震いする自分がいる。
要は、自分を支えてくれて信頼出来る存在が、
実は、自分を絶望へと導く存在になるという恐怖(特に最後のシーン)。
そんな自分と他者の間に横たわるリアルな恐怖が、
映画を観終えてからジリジリくる、新しくて本物の"ホラー"映画。


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